1.インテリジェンスイベントとは?
Googleアナリティクスのインテリジェンスイベントとは、端的に表現すると特定の条件になった場合にアラートをお知らせしてくれる機能の事です。Googleのアナリティクスヘルプでは以下のように説明されています。
ウェブサイトのトラフィックを監視して、統計的に大きな変化を検出した場合にアラートを生成します。
参照URL:https://support.google.com/analytics/answer/1320491?hl=ja&ref_topic=1032994
つまり、ウェブサイトのユーザー数やページビュー、滞在時間やコンバージョン数などGoogleアナリティクス上の数値について、統計的に見て異常値と判断された場合にアラートを出すツールとなります。
毎日Googleアナリティクスで色々な指標をチェックするのは大変です。企業内で業務を兼務しているWEB担当者の方は特にそのような傾向があるのではないでしょうか。上司の方であれば余計にアクセス状況の把握は難しいでしょう。インテリジェンスイベントはそのような方のために重要な指標の変化をお知らせしてくれるツールです。
2.具体的にどんな時に使うと効率的か?
実際にどのような時にインテリジェンスイベントが効果を発揮するかを解説していきます。
基本的にインテリジェンスイベントでは異常値を発見する時に有効です。「異常値」とは、ネガティブなイメージがあるかもしれませんが、数値が良い状態になった場合でも異常値となります。ポジティブな数値でもネガティブな数値でも異常値となれば、インテリジェンスイベントでアラートを出せます。
2-1.月間のコンバージョン目標を達成した時
まずはポジティブなアラートの例です。
Googleアナリティクスで目標設定している場合、その目標の数値に達した時にアラートを出すという事です。アラートはGoogleアナリティクスの画面上だけではなく、メールでも確認できるので、web担当者だけではなく、上司にもメールが届くように設定しておくと目標達成の喜びを共有できます。
2-2.ページビューが増えた時
ページビューが増えた時にアラートを出す設定です。特定のページだけではなく、ディレクトリ単位でも設定できます。また「特定の参照元からページAへの流入が増えた時」などの絞り込んだ設定でもアラートを出せます。このようにアクセスが増えた時、要因を早めに掴む事で次の施策が素早く実行に移せる事も可能です。
2-3.404エラーが発生しているかを計測
次は、少しネガティブなアラートの例です。
WEBサイトを運用しているといつの間にか404エラーが発生する事も少なくありません。そこで、404エラーが発生した場合にアラートを設定しておきます。404エラーの簡単なアラート設定は、サイトによって異なると思いますが、もしtitleに「ページが見つかりません」という表示がある場合、このtitleが表示された場合にアラートを出すという設定になります。WEBサイト全体のPVのうち0.5%以上、URLに「404」が含まれている場合にアラートを出すという指標が1つの参考です。具体的な設定について後述します。
このように、誰の(いつ)どんな数値が変化した時にアラートを出すかなど、セグメントと数値を掛け合わせてアラートを出す事ができます。
3.自動アラートの使い方
インテリジェンスイベントには、自動アラートとカスタムアラートがあります。まずは、インテリジェンスイベントの自動アラートの使い方を解説します。
自動アラートは、Googleアナリティクスで過去のデータの統計から異常値と見なされた指標が自動レポートとして表示されます。長い期間、Googleアナリティクスを利用しているサイトではかなり多くの自動アラートが表示されるようです。下記の例では、258個ものアラート(表示期間によって表示数は異なります)が出ています。では、いくつかのアラートにフォーカスして解説していきます。
指標とは、対象となる数値の項目で、セグメントとは、指標をどのような「塊」で見るかを表します。
その他、期間とは、日別、週別、月別で分けられ、このうちアラートが出た期間が表示されます。
日付とは、アラートが出た日になります。
変化率とは、サイト全体の過去平均からの変化率を表します。
重要度とは、プラスの変化の場合は緑色、マイナスの変化の場合は赤色となります。
詳細をクリックすると、このアラートを表すレポート画面に遷移します。ただし、ちゃんと遷移しない場合も発生するようで現時点では確認できたらラッキーという感じでしょう。遷移しない時は、自分自身で該当するレポート画面を表示して確認する必要があります。
4.カスタムアラートの設定方法
ここからはカスタムアラートの設定方法について解説します。カスタムアラートでは、アラートを出したい指標を自由に設定できます。
インテリジェンスイベントのサマリーをクリックします。表組みの上に自動アラートとカスタムアラートというタブが表示されているので、カスタムアラートをクリックします。
何も設定していない場合は、下記のような画面が表示されます。そこで、赤枠の「カスタムアラートを管理」をクリックします。
すると、アナリティクス設定のカスタムアラートの設定画面にが表示されます。新しいアラートという赤いボタンをクリックします。
下記の画面が表示されたと思いますので、上から順に解説します。
アラート名とは、これから設定するアラートを分かりやすい一文で入力します。
適用とは、アナリティクス上のどのビューに対してカスタムアラートを設定するかという箇所になります。デフォルトで元々開いていたビューが表示されています。このビューの他、対象としたいビューがあればプルダウンから選択します。
次に期間を日、週、月から選択します。
どの程度の期間で指標の変化を見ていきたいかによって選択します。
期間の下にある、「このアラートが発生した時にメールで通知する」にチェックすると下記の画面が表示されます。
通知したい宛先を「新しいメールアドレスを追加」をクリックしてメールアドレスを入力します。
次にアラート条件について解説します。
「適用対象」とは、自動アラートで解説したセグメントの事です。ここでは、どのセグメントでアラートを出すかを決めます。
「次の場合に通知する」「条件」「値」では、何がどのような数値になったらアラートを出すかを決めていきます。
「次の場合に通知する」について、具体的に解説していきます。ただし、かなり指標が多いのでいくつかにフォーカスします。
大きく下記の5つの分類が用意されています。
・利用状況
・目標
・eコマース
・コンテンツ
・クリック
・利用状況
アクセス解析の基本指標が表示されます。セッションやページビューはここから選択します。
・目標
Googleアナリティクスで目標設定してある指標になります。例えば、計測期間を週にして、一定のコンバージョン率以下になった時にアラートを出す設定の場合、翌週にはアラートのお知らせを元に原因追求と改善策を打つ事ができます。
・eコマース
eコマースの設定をしてある事を前提として、この指標が利用できます。特に重要なのは、平均注文額とeコマースのコンバージョン率。そこでシンプルにここにある指標の上昇、下降をアラート設定しても良いですが、もし、チャネル別のコンバージョン率をKPIとしている場合は、下記のような設定もより具体的に傾向を把握できます。
「適用対象」>「集客」>「メディア」を選択し、「cpc」と入力(リスティング広告のチャネルの場合)
「次の場合に通知する」>「eコマース」>「eコマースのコンバージョン率」を選択し、値を入力
下記がその設定例になります。
こうする事で、特定のセグメントのユーザーの動きについてアラートを出す事ができます。
・コンテンツ
主にサイト内検索とイベント設定に関する指標になります。イベントについては、既に複数のイベント設定をしている場合は、総数がアラート対象の数値となってしまうので、あまり利用する機会が無いかもしれません。
次に、「次の場合に通知する」の右となりにある「条件」を選択します。「条件」は、下記の6つとなります。
・未満
・超える
・以上減少
・以上増加
・%以上減少
・%以上増加
「値」で入力する数値が「どうなったら」という、この「どうなったら」の部分についてアラートを設定する選択肢です。
前述で選択した指標の”異常値”となる値を何に設定するかという事です。過去の平均値が分かる場合は、その数値を参考に設定して良いと思います。およそ平均の25%以上かけ離れた場合を異常値としても良いでしょう。
まとめ
このようにインテリジェンスイベントは、異常値を(自動で)お知らせしてくれる便利な機能です。
新規サイトを立ち上げた後にセッション数やPVをKPIとしている場合やチャネル別に流入数を定点観測している場合などに、インテリジェンスイベントのカスタムアラートの活用が向いていると思います。ただし緊急を要する時にはすぐにメールが届く訳ではないので注意が必要です。(弊社で確認した中では、アラートが発生した翌々日にメールでアラートを受信しています。)
またチーム内のメンバーで目標達成やネガティブなアラートを共有しておくと改善施策案の質が上がったりディスカッションの活性化に繋がりやすくなることもあります。ぜひ自社に合った活用方法を探してみてください。